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2016年9月29日木曜日

9月17~18日(土日)京都でてこいランド1泊2日交流会の報告

京都きょうだい会副代表の糸井さんが執筆された報告記事をご紹介します。

※一部、編集させて頂いています。ご了承ください。



きょうだいには、障がい者本人や親とはまた違った不安や気づきを持っている人が多くおられます。同時にその気持ちを周囲になかなか伝えられず、重い気持ちを抱えたきょうだいが多いことも、会の活動を通じて実感して来ました。

そこで京都きょうだい会では、2ケ月に1回の例会の他に毎年、全国のきょうだいや関心のある方に呼びかけを行い、1泊2日の交流会を開いています。「でてこいランド」って何?と思われるかもしれませんが、南北に細長い京都府の真ん中、JR京都駅から山陰線で1時間あまりの下山駅近くに建てられた、山小屋風の宿泊施設の名前です。自動車道で言えば、京都縦貫道丹波インターが最寄りになります。

ここで1泊交流会を始めて今年で17回目。皆さん、忙しい日々の中で、日程を調整頂き、今年も栃木・東京・神奈川・静岡・京都・奈良・和歌山・兵庫・広島の各地から、日帰りの方も含め24人の方々が参加して下さいました。内訳は初めての方が6人、2回目以上のリピーターの方が18人。障害のあるきょうだいの方と一緒に参加された方は2組おられました。セルフの施設なので、いろいろな準備や後片付けも必要ですが、皆様の自主的な協力により順調に進行し、有意義な時間を過ごすことが出来ました。



初日は夕方からスタート。各自持参の夕食や持ち寄りの名物を食べながら、アルコールも入り、なごやかなうちに地域ごとの自己紹介から始まります。その後は近くに座った人との交流になり、日頃周りの人には話せないきょうだいの思いを語り合います。初対面の方とは初めのうちは少し緊張もしますが、きょうだいとしての共通体験があるので、前置き無く話がはずんでしまうのは不思議です。時間を気にせず話せる機会なので、夜遅くまで話し込む小グループがあちこちで見られました。雨になりましたが、かえって静けさが増し秋の気配を感じさせ、語り合うには良いロケーションとなりました。

小雨交じりで明けた翌朝。7時前からみんなで手分けして、シーツの洗濯や風呂掃除、ゴミの片付けや朝食を済ませた後、9時過ぎから12時まで、小グループに分かれてのディスカッションをしました。進行役は、若手きょうだいのNさんが担当してくれました。

6~7人で一つのグループを作り、「それぞれの近況を語る」「事件のことをどう考えるか」のテーマに分け、参加された方に選んでいただき、結果、前者のテーマが2つ、後者が1つ出来ました。各グループの進行がスムーズに行くかいつも気を使いますが、皆さん、それぞれ熱心にカミングアウトやアドバイス、意見を出して頂いていました。

近況を語り合ったグループでは、初参加の方はもちろん、リピーターの方からも初めて聞くエピソードが聞け、自分の体験と重ね合わせながら、きょうだいの在り方をみんなで考え合う時間が持てました。感極まり、涙ながらのカミングアウトの場面も多く見られました。自分のことをもっと大事にしていいんだということを確認し合えたと思います。

相模原事件を考え合ったグループでは、皆さん他人事ではないと考えていて、熱のこもった意見交換が交わされました。きょうだいとしても絶対許すことの出来ない今回の事件のことをどう考えるべきか・・・。この事件の背景には深いものがあるはずで、そのことを当事者だけでなくみんなで考えて行く、そのためにもっと情報開示される必要がある、そして核心にある問題として「人の心が育てられていない今の社会に目を向けて行かなければならない」「心をどう育てるのか」「心の声を聴くこと、そのために居場所が大切だ」などなど根幹に触れる議論が出来たことに手ごたえを感じました。




今回参加された方々から感想を多く頂きました。2日間の様子が何よりも雄弁に語られていますので、紹介しておきます。

<<初参加の方から>>

●出てこいランドの交流会には初めて参加させて頂きました。関西以外からも多くの方が参加されていて、普段は会うことのできない方ともお話ができてよい機会だったと思います。地元や近くの方とも知り合うことができたので、また地元や大学のきょうだい会にも参加したいです。ちびっ子が元気すぎてたまに話に集中できないことがあったので、別の部屋で遊ばせる等できたらいいのかなとも思ったのですが、目を離すのもむずかしいですよね・・・。(でもいやされました)【20代女性】

●普段、きょうだいの方と出会い、お話する機会があまりないので、今日、ゆっくりとお話ができてよかったです。親亡き後のことは自分にとって随分先の出来事だと感じていましたが、着々と近づいているのだと感じました。先のことだと思って避けるのでなく、少しづつ向き合っていかないとと思っています。【20代女性】

●相模原事件についてそれぞれの思う所を話し合う機会が持てました。普段、「きょうだい」同士という立場で話ができること自体、なかなかなく、とても貴重なお話を伺うことができ、二日間楽しかったです。今後もこのような機会があれば出来るだけ参加していきたいと思っています。【20代女性】

●自分と似た境遇の“きょうだい”の方と交流したのは初めてだったので、今まで不安だったことなど、話してわかってもらえることがとても嬉しかったです。私は現在は両親・障がいをもったきょうだいとは遠方に離れてくらしていますが、実際に、離れて暮らしながらきょうだいのことを親に代わって気にかけている方のお話も聞くことができて、心強く感じました。「自分のこと、自分の幸せを考えて生きるのがいい」と声をかけていただき、私自身、自分の生き方の希望など両親にもきちんと伝えていこうと思いました。ありがとうございました!【20代女性】

●様々な地域と年代の方々と交流ができ、大変充実した2日間を過ごすことができました。相模原事件についてのディスカッションでは、報道やwebでは知ることができなかった真相を聞くことができました。妹が入所しているため、自分も当事者になりえると考えながら、今の施設と関わっていきたいと思います。また来年もよろしくお願いします。【40代男性】

<<2回目以降の参加者の方から>>

●昨年に引き続き2回目の参加でした。昨年に比べると若いきょうだいの方が多かったこともあり、昨年よりも更に有意義な時間を過ごさせていただきました。私の兄は知的な遅れはほとんどなく、一般就労しているという状況の中で、他の方々の大変な状況と比べて私なんて・・・という気持ちもありましたが、皆さんに受けとめていただけている安心感を感じることができました。また、来年是非参加させていただきたいと思います。【20代女性】

●自分の気持ちや幼い頃からのきょうだいや両親に対する思いを話せてよかった。できればもっと多くの人に僕の本心を知ってほしかった。出てこいランドに行くかどうかギリギリまでまよったけど・・・来て良かったと思います。来年行けるかどうか分かりませんが、来年は今年より良い報告ができる様になりたいと思いました。【20代男性】

●今回はとても有意義な二日間になりました。二日目は二日酔いになってしまい、二日酔い自体、人生で4,5回程度だったこと、この十年は一度もなかったことで、なんとかなるだろうと考えていたのが裏目に出た感じです。ご迷惑をお掛けしました。二日目のグループディスカッションがすごくメインだったのに、話したいことが話せませんでした。その分たくさんの方のお話がきけて、大変参考になりました。どうもありがとうございました。【30代男性】

3年ぶり5回目の参加で、顔ぶれがだいぶ変わっていて、おどろきました。はじめて参加した平成20年は、自分が若いと思っていましたが、今回は20代の参加や子どもさん・きょうだいの参加も複数・多数あり、いい意味でつながりや継続を感じました。きょうだい亡き後の地域活動をされている人等と直接話ができ、刺激を受けました。家族や職場以外の居場所の大切さを改めて感じました。【30代女性】

●相模原障害者施設殺傷事件を考えるチームに入り、ディスカッションさせて頂きました。社会に対し、死をむだにしないために、今日のリアルな問題提議について、“きょうだい会”としてあげていく必要があるのではないか?と思いました。まずは、当事者や家族だけの問題ではないということですよね。国を挙げて、考えていかなければなりませんね。【40代女性】

●いつもどんな形で参加しても、参加しやすい準備をして下さっていて、感謝しています。相模原の事件の事は、家族としてだれとでもわけあえるわけではない、大切で重い課題をつきつけられている問題で、きょうだいの皆さんとその話を共有できることは、ありがたいなあと改めて感じました。立場のちがう親御さんには話せない部分も話せます。【50代女性】

18日の朝のディスカッションで、例の事件の話(かなり突っ込んだ話)が出来た事が良かった。やはり非公開はおかしい。現実を隠そうとしていると思う。【60代男性】

●今回3回目を参加させていただきました。2回は一人参加で、今年初めて若い人に車を出してもらい、3人で一緒に来ることが出来て、嬉しく思いました。毎回新しい人達が参加されていて、ますます拡がっていて良い会だと思いました。とりわけ若い人達の参加があって心強く思いました。若い人の現在の意見を聞くことができたので、会の運営の参考にしたいと思います。伊丹でも白くま会、ファーストペンギンに続く会が出来ればいいなと思います。しかし、親亡き後の問題は未だに重い課題なので、こちらの進展も期待したいです。この様に発展してきたのは、17回続けて来られた人達に支えられてのことと感謝しています。【60代女性】

●今日は楽しかった。(御本人が自筆で書いてくれました)【40代男性】

参加された方の家族の背景等はそれぞれ違いますが、きょうだいとしての思いに共通するところがあり、貴重な交流の場であったことが述べられていて、手ごたえを感じました。又本人自筆の「今日は楽しかった」という言葉に、大いにいやされました。あっと言う間に過ぎてしまった2日間でしたが、きょうだいという当事者同士だからこそ作れた居場所だったと思います。来年もまた出てこいランドでお会いしましょう。
京都きょうだい会 糸井慶一

*この事業には、全国きょうだい会からの助成金が出ており、運営に役立たせて頂きました。

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